ひと月経って

 

土曜日の午前に現場で患者対応を始めてひと月が経ちました。

最低20名くらいの方には対応することを心がけています。

処方箋調剤は、薬局薬剤師1名に付き40枚が上限と定められています。調剤報酬はその原則のもとで決められるので、半日で20枚くらいはこなさないと仕事として収支が合わない。服薬説明は調剤の一部なので、業務として必要な数字です。一応経営者なので。

でも実際はそう簡単ではなく、患者さんの顔が見えてくるほどに、いろいろ話したいし、記録も残したい。なにせ、お作法がまだ心許ないので、自分が対応した患者さんを見直す時間も欲しい。処方を再度見直して、薬歴と突き合わせて患者さんの薬物療法の経過を考察する。その上で、次の時に確認したいことも残しておこう・・・などをやり出すと、タイムアップで仕事が残ってしまいます。悩ましい。


そんな中、たったひと月の現場経験なのに、愚痴が出てしまいます。頑張って働いている薬剤師さん達に申し訳ないと思いつつ、お許しを。

何より腹立たしいのが、アクリル板。表現は悪いのですが刑務所の面会のようです。つい顔を寄せて話をしてしまいます。もともと、服薬説明を相対でするのはあまり好きではなく、出来れば斜め45度くらいで話したい気持ちがあります。薬物治療に一緒に向き合うためにも、同じ方向から薬を見て話したい。

以前、他の店舗で小さなテーブルをいくつか置いて、薬剤師が隣に座って話をするスタイルも考えたのですが、薬歴の端末が無い、お金のやり取りも不便、情報保護の観点ではスペースが狭い、など課題も多く実現しませんでした。

今はアクリル板がまるで関係性を遮断するかのようにある。声も聞こえにくい。マスクもしているから表情も読みにくい。短時間で気持ちを寄せて安心感を持って話していただく環境には程遠い状況です。

信頼が得られる関係性って、やはり身体的距離感が大切なのだと感じます。


最近は、電話、メール、SNSとどんどん進化した情報交換が可能になっています。オンライン診療やオンライン服薬指導も、現実的になってきました。来局できない方々や、多忙なご家族などにとってはとても便利なツールと思います。でも、対象にする方を間違えると、ただ便利なだけで、心は近づかない関係性になるような気がします。

薬剤師は薬の説明だけで患者さんと関わるわけではなく、患者さんの薬物治療の同伴者として効果に喜び、副作用を心配し、上手に薬を利用して、より良い人生を送ってもらえるような支援がしたい。信頼関係の構築はとても大切で、それには身体的距離感がやはり必要だと強く感じます。便利なだけでオンラインが進んでいかないことを切に望みます。多分その先には、薬剤師は必要なくなり、ボカロで良い?という結果が待っているような気がします。


表情が見えにくいマスクも、声が聞きにくいアクリル板も全てコロナのせい。本当に疫病神です。せめて、ワクチン普及を頑張ろうと思います。

久しぶりに吉見百穴に行ってきました。古墳時代の集合墓地。青空の下の不思議な風景でした。