親のとなりが自分の居場所〜小堀先生と親子の日々

 

 昨日、NHKEテレで堀ノ内病院訪問診療部の小堀鴎一郎を追ったドキュメンタリー第2弾が放映されました。第1弾では地域での終末期医療の現場を赤裸々に見せながら、小堀先生ならではの人間味あふれる訪問診療の姿を通して、人生のしまい方を考えるものになっていました。今回の第2弾では、親を介護する息子に視点を当て、8050問題(50代の子供を80代の親が抱える)にも繋がる現代の姿を捉えたものでした。


 両者に共通しているのは、終末期の医療というより終末期に患者に寄り添う姿勢のようなものについて考えさせられること。親は最後は子供に看取られたい、それを叶えるために行動する小堀先生。正解ばかりでは無い結末もあります。

 今回は全て単身の息子さんが、それぞれ問題を抱えながら親を介護するという内容ですが、三者三様です。自らの心を患う息子さん、生真面目さゆえに自分の人生を変えてまで親を見ようとした息子さん、一見チャランポランに見える母子家庭の息子さん、思いもそれぞれ、結末もそれぞれ。しかしながら、今の医療と介護はこの個別性に対応できる柔軟性を持てるのか?私はそこをとても悩ましく感じました。

 最近は、医療も介護も合理化や効率化は切り離せません。柔軟性を求めることは、相反するように思えます。でも、ますます減ってしまう人的資源も含めて考えれば、合理化と効率化を進める事で、柔軟性を持った個別対応が叶うのかもしれません。それにしても、小堀先生のような強いイニシアチブが必要です。


 個性的な医師が多い堀ノ内病院ですが、小堀先生も小島理事長も充分後期高齢者。でも、相変わらずのオーラと強いイニシアチブに圧倒されます。この撮影がコロナ禍の中で行われたことにも驚くほかありません。見逃し配信や再放送もありそうです。必見です。